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電気・ガス料金「補助」が再び 2024年8月使用分から3カ月間 「酷暑乗り切り緊急支援」

電気・ガス料金「補助」が再び 2024年8月使用分から3カ月間 「酷暑乗り切り緊急支援」

5月に公開した記事『2024年6月から、電気代が値上がりします 「政府の補助金終了」「再エネ賦課金の引き上げ」……その対処法とは?』では、政府による電気代補助金制度が2024年5月使用分で終了することをご紹介しました。

また電気代が上がるのか…とガッカリしていると、6月21日に開かれた記者会見で岸田首相は、8月・9月・10月使用分について、電気・ガス料金補助「酷暑乗り切り緊急支援」を行うことを発表しました。

今回は、この支援の背景や内容についてご紹介していきます。

2024年5月使用分までの補助について

ロシアのウクライナ侵攻などを背景に、2022年から燃料の価格は高騰し、エネルギーのおよそ9割を輸入している日本において、電気・ガス料金の値上げが続きました。そこで政府は、2023年1月より「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を立ち上げ、電気代・ガス代の補助金制度を開始します。この制度は2023年9月で終了する予定でしたが、物価高騰などの状況をふまえ延長され、燃料輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下したとして、2024年5月に終了しました。

2023年1月~2024年5月使用分の値引き単価

期間

値引き単価

2023年1月~2024年4月使用分

電気

都市ガス

低圧

3.5円/kWh

15円/㎥

高圧

1.8円/kWh

2024年5月使用分

低圧

1.8円/kWh

7.5円/㎥

高圧

0.9円/kWh

主要国の一次エネルギー自給率比較

主要国の一次エネルギー自給率比較

出所:資源エネルギー庁HP

電気・ガス価格激変緩和対策事業の予算は令和5年度で3兆1,074億円。令和6年度の延長分で6,416億円を追加計上しました。

これらのお金は、国民の負担は一時的に減ったかもしれませんが、最終的には輸入元である海外に流れ、日本国民の資産としては何も残りません。そればかりか、補助として使ったお金は増税というブーメランとなって、また私たちを苦しめる可能性もあります。

これだけのお金を使えるのなら、エネルギーコストを下げるものに投資するなり、高性能住宅の建設や断熱改修の支援に回すべきではないでしょうか。

2024年8月・9月・10月使用分の補助について

2024年に入ってからも円安が止まらず物価水準が高止まる中で、今年の夏は酷暑が心配されています。政府は、物価高の状況にある国民を守り、酷暑の夏を乗り切るため、即効性が高い対策として燃料代、電気・ガス代に対する補助を行うこととしました。

電気・ガス料金補助「酷暑乗り切り緊急支援」は、8月・9月・10月使用分を値引きするもので、具体的な値引き金額については次の通りです。

2024年8・9・10月使用分の値引き単価

期間

値引き単価

2024年8・9月使用分

電気

都市ガス

低圧

4.0円/kWh

17.5円/㎥

高圧

2.0円/kWh

2024年10月使用分

低圧

2.5円/kWh

10.0円/㎥

高圧

1.3円/kWh

では、月間どのくらいの金額が補助されるのか、試算してみましょう。ウェルネストホームの一戸建て住宅(4人家族)でだいたい月に400kWh、現行の省エネ基準で建てた一般的な戸建て住宅(4人家族)の電力使用量を800kwhと想定します。

期間

値引き単価

月の補助額

400kWh

800kWh

2024年8・9月使用分

4.0円/kWh

1600円

3200円

2024年10月使用分

2.5円/kWh

1000円

2000円

電気の使用量はお住まいの人数や生活スタイルによってそれぞれ違いますので、ご自身の電気使用量をぜひチェックしてみてください。

目標にはまだ遠い? 化石燃料燃料依存からの脱却

政府からの補助の有無よって、電気料金の上下が起こる2024年。電気料金は、燃料である石油、液化天然ガス(LNG)や石炭などの価格によって左右されます。化石燃料に依存している限り、それは免れないことです。

日本の一次エネルギー供給構成の推移

日本の一次エネルギー供給構成の推移

出所:資源エネルギー庁HP

2021年時点で、日本の化石燃料依存度は83.2%。これらを燃料とする、火力発電以外の発電方法に切り替えていかなければならないでしょう。日本政府は、2030年までの電源構成における再生エネルギーの割合を36~38%とする目標を掲げており、2050年に向けては50~60%とする目標を掲げています。

こうした目標を掲げる一方で、補助金という使えばなくなってしまう政策に税金を使う矛盾。そして、燃料価格が落ち着いてきたにもかかわらず、こうした補助を再開する政府の目的がいまひとつわかりません。

6月21日の記者会見で岸田首相は次のように語っています。

ガソリンや電気・ガスへの補助金は、脱炭素の流れに逆行することもあり、いつまでも続けるべきものではありませんが、(中略)物価高に直撃されている地方経済や低所得者世帯の現状に思いを致し、最も即効性のあるエネルギー補助を今回に限って講じることといたしました」。(首相官邸HPより)

齋藤経済産業大臣が6月28日の記者会見で語った内容は次の通りです。

「これらの補助は、脱炭素化の流れやGXの取組への影響を勘案すれば、いつまでも続けるべき政策とは言えません。(中略)時限的な対応として、燃料油代に対する補助については、年内に限り継続します。その際、国際的な脱炭素の流れ等も踏まえ、丁寧に状況を見定めた上で、段階的かつ円滑な終了に向けて必要な対応を行ってまいります」。(経済産業省HP 「齋藤経済産業大臣の記者会見の概要」より)

今回の支援政策は一時的なものだという認識はあるようです。

まとめ

「酷暑乗り切り緊急支援」の財源は、既存の予算に加えて予備費を活用し、計2兆円規模にのぼる見通しだそうです。前述した通り、電気・ガス代の補助金は、ただただ海外に流出するだけのお金です。

政府には、お金をばらまく政策ではなく電気の使用を抑えられる生活、つまりは省エネルギー設備や省エネ住宅の普及にお金を使っていただきたいと切に願います。

高性能住宅であることはもちろん、太陽光発電、蓄電池、電力の自動制御システムなどを搭載したウェルネストホームは、電力消費の少ない住宅です。電力会社から電気を買う必要がほとんどない住宅にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

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