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プロが教える! 土地探しの盲点 建築制限 ~建ぺい率・容積率・斜線制限~

プロが教える! 土地探しの盲点 建築制限 ~建ぺい率・容積率・斜線制限~

注文住宅を建てようと考えた時に、土地の購入が必要になる方も多いのではないでしょうか。今回は、土地探しの際に見落としがちな、建築制限についてご紹介します。

住宅の建設にはさまざまな規制があり、それらを把握せずに土地を買ってしまうと、予定していた大きさの家が建てられない可能性があるのです!

ナビゲーターは、ウェルネストホームで土地探しのお手伝いをしている、不動産エージェント、スタイルオブ東京株式会社の田坂妙子さんです。

これまでの記事もぜひご覧ください。

土地探しの前に知っておきたい超基礎知識①

土地探しの前に知っておきたい超基礎知識②

土地探しの前に知っておきたい超基礎知識③

土地探しの前に知っておきたい超基礎知識④

プロフィール
田坂 妙子 Taeko Tasaka
得意エリア:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
興味・関心:コミュニティ・デザイン・建築
保有資格:宅地建物取引士

<自己紹介>
広島県広島市出身
法政大学 国際文化学部 国際文化学科卒業
◼︎大手ハウスメーカー/営業→ハウスメーカーで家づくりの全体像を掴む
◼︎建築設計事務所/商品企画、営業、広報→工務店と組んだデザイン住宅の新ブランド立ち上げに携わる
◼︎不動産コンサルティング会社/事業企画、営業→集合住宅(コーポラティブハウス)を事業計画立案~竣工・引渡しまでプロデュース

私のキャリアのスタートは、新卒で就職をしたハウスメーカーでした。
住宅のことも不動産のことも全くの素人で入社をし、営業としてお客様のお手伝いする中で、家づくりの基礎を習得しました。
設計事務所では、「設計事務所+工務店」でデザイン性もクオリティも高い一戸建てを目指した新ブランドの立ち上げにあたり、マニュアルのない家づくりをする中で、たくさんの人が関わるモノづくりの裏側を知りました。
不動産のコンサルティング会社では、自由設計ができる集合住宅(コーポラティブハウス)の企画から完成まで一気通貫して数年単位のプロジェクトを統括するコーディネイターとして働いていました。
注文住宅、中古リノベーション(戸建、マンション)、土地・建物の売買仲介、一通りの業務経験があり、不動産と建築の両方が分かる比較的珍しいキャリアの持ち主だと思います!

住宅選びの際は、とかく土地や建物の不動産としての価値に目が行きがちですが、
「そこでどんな暮らしがしたいのか=自分にとって豊かで幸せな暮らしの軸は何か」を見失わないことも大切です。
インターネットで少し調べれば情報が溢れる時代ですが、だからこそ、ユーザーにとっては真実が見えづらくなっているようにも思います。
一つひとつ紐解いて、答えを見つけましょう。

用途地域とは

土地をお探しの皆さんはすでにご存じとは思いますが、用途地域によって、建てられる建物には制限があり、自分の敷地だからといって、勝手に好きな建物を建ててよいわけではありません。

その地域の都市計画に基づいて、建築可能な建物の種類や用途について定めたルールが「用途地域」です。都市計画では都市を住宅地、商業地、工業地などに区分し、用途を定めることで、それぞれの土地や地域に合う環境を形成しているのです。

用途地域の種類と用途の内容

用途地域はまず「住居系」「商業系」「工業系」の三つに大別され、そこからさらに13の地域に分けられます。

用途地域

用途の内容

住居系用途地域

第一種低層住居専用地域

低層住宅のための地域です。小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。

第二種低層住居専用地域

主に低層住宅のための地域です。小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられます。

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域です。病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。

第二種中高層住居専用地域

主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。

第一種住居地域

住居の環境を守るための地域です。3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。

第二種住居地域

主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。

準住居地域

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。

田園住居地域

農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域です。老人ホームや診療所などが建てられるほか、150㎡までの店舗、500㎡までの農産物直売所や農家レストランも建てられます。

商業系地域

近隣商業地域

まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。

商業地域

銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。

工業系地域

準工業地域

主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。

工業地域

どんな工場でも建てられる地域です。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

工業専用地域

工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

国土交通省の資料を基に作成

このように、用途地域によって建てられる建物には制限があります。よって、事前に用途地域を確認しておけば、住んでからの暮らしがイメージしやすくなるでしょう。

用途地域は公開情報です。インターネットで、住みたい地域の区・市などで「用途地域」を検索すれば、用途地域ごとに色分けされた地図情報が見られるようになっています。

建ぺい率と容積率

「建ぺい率」「容積率」という言葉はご存知の方も多いことと思います。
建ぺい率は、敷地面積に対して、真上から見た建物の面積の割合。容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積の割合で、計算式はそれぞれ以下となります。

建ぺい率=建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
容積率=延床面積 ÷ 敷地面積 × 100

家づくりにはさまざまな規制があることを冒頭でお伝えしましたが、「建ぺい率」「容積率」にも規制があり、そのパーセンテージは用途地域によって異なります。
建物面積と延床面積の上限は、用途地域によって違うのです。

用途地域

建ぺい率

容積率

第一種低層住居専用地域

30・40・50・60%

50・60・80・100・150・200%

第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

100・150・200・300%

第二種中高層住居専用地域

第一種住居地域

60%

200・300・400%

第二種住居地域

準住居地域

田園住居地域

30・40・50・60%

50・60・80・100・150・200%

近隣商業地域

80%

200・300・400%

商業地域

200・300・400・500・600・700・800・900・1000%

準工業地域

60%

200・300・400%

工業地域

工業専用地域

30・40・50・60%

過去の記事「建ぺい率、容積率とはなにか? 家を探す人が知っておきたい土地選びの基礎知識」もあわせてご覧ください。

高さ制限

高さ制限とは、道路や隣接地の日照や通風などの環境確保のために、建物の高さを制限するルールです。

この高さ制限もまた、用途地域や都市計画などによって、上限値が決められています。
高さ制限は大きく分けて「絶対高さ制限」「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」の4つあります。これらが、家の大きさや形、配置などに影響する場合があるのです。

特に規制の厳しい「第一種低層住居専用地域」を例に解説します。

絶対高さ

第一種低層住居専用地域の建築物の高さは、10m以下または12m以下のうち、都市計画で定められた方に制限されています。
木造住宅であれば3階建て相当の建物に該当する高さなので、一般的な戸建て住宅であれば、ほぼ問題のない高さだと言えるでしょう。

道路斜線制限

道路の日照や通風が確保されるように、道路に面した建物の高さを制限するルールです。
前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で記された線(=道路斜線)の範囲内に建築物を建てなくてはいけません。

道路斜線の勾配の適用角度は、第一種低層住居専用地域の建築物は「1:1.25」です。

北側斜線制限

敷地の北側にある隣地の日射を確保するため、建築物の高さを制限するルールです。

北側隣地境界線上に一定の高さをとり、そこから一定の勾配で記された線(=北側斜線)の範囲内で建築物を建てなくてはいけません。北側にある住宅に対して、日照を確保するための規制ですから、真北方向に対して算定します。

絶対高さ、道路斜線制限、北側斜線制限を図で表すと、このようになります。

北側斜線制限

このブルーの範囲からはみ出さないように、さらに、前述した建ぺい率、容積率の範囲内でなければ、建物を建てることができないのです。

また、北側斜線にはもうひとつ、各都市計画で定めた高度地区による高さの制限「高度斜線」があります。高度地区の制限内容は自治体ごとに異なり、制限が重なったときは、厳しい規制の方が適用されます。北側斜線よりも高度斜線の規制が厳しければ、高度斜線が適用されます。

こうした斜線制限は、土地を見渡しただけでは、一般の方にはわかりにくいものです。土地を購入する前に、理想の家が建てられる土地かどうかを、設計会社や施工会社に確認するようにしましょう。

制限だらけでうんざりしますね。もう少し理解を深めていただくために、ここから具体的な事例で解説していきます。

事例~角地の土地購入を検討されたケース~

角地の土地

上図をご参照ください。この土地は、東南の角地にあります。角地なので当然、二方向道路です。ということは東側と南側の二方向に道路斜線制限が適用されます。

南側に庭をつくるために、建物を北側に寄せようと思っても、北側斜線制限も適用されるので、ギリギリまでは寄せることができません。

これら斜線規制を適用した建物を立面図で表したのが下図です。高度地区のため、北側は高度斜線が適用されています。

高度地区北側斜線

さらに、下の写真をご覧ください。敷地が道路よりも少し高くなっているのがおわかりいただけると思います。50cm程度敷地の方が高くなっていますが、この程度の高低差は決して珍しいものではありません。

高低差

しかし、この少しの高低差が、建物を建てられる範囲をさらに小さくしてしまうのです!

道路斜線は、前面道路の反対側の境界線から、「1:1.25」(第一種低層住居専用地域の場合)の勾配で定められています。下図をご覧ください。道路が敷地よりも低ければ、その分、建てられる範囲は小さくなることがわかります。

加えて、今回の敷地では、前面道路の幅員が4mであることで、より厳しい条件となりました。

ほんの少し、建てられる範囲が小さくなっただけでも、「希望していた広さの家が建てられない」という事態もあり得るのです。

道路面より地盤面が高い場合、建物を建てられる範囲はかなり狭まってしまいますよね。そのため、道路斜線には「高低差緩和」という緩和措置があります。

道路面が敷地の地盤面よりも1m以上低い場合、その高低差から1mを引き、残りの1/2だけ道路面が高い位置にあるものとみなして、道路斜線を算定します。

高低差緩和

まとめ

建築制限は、土地の広さや高低差、道路幅など周囲の状態すべてが関係する複雑なルールです。個人で判断することは非常に難しいでしょう。

土地探しは、メーカー、工務店、設計事務所など、信頼のおけるプロと一緒に行うことをおすすめします。

ウェルネストホームは、お客様の土地探しからお手伝いいたしますので、ご安心してご相談ください。

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